その土地の地形から自然災害のリスクがわかるって聞いたことがあるけど、そもそも地形って何?どうやって調べるの?
具体的に、どの地形が災害リスクが高いのかな?地形って専門的で小難しくて、わかりやすい解説がほしい。
この記事を読むことで、こういった疑問を解決できます。具体的には、以下がわかるようになります。
- 地形の概要がわかるようになる
- 地形を調べることで、浸水しやすい土地、地震で揺れやすい土地、液状化しやすい土地がわかるようになる。
- 地形と自然災害リスクの簡単な調べ方がわかるようになる。
地形とは何か?地形について解説
地形の概要
自然災害のリスクを知る上で、土地の成り立ちを理解することはとても重要だよ。その土地は、私たちが生まれるずっと前から存在して、色々な自然災害を経験しているから、その土地の地形を調べることで過去に発生した自然災害を知ることができるんだ。
私はずっと昔からこの土地に住んでいるけど、これまで自然災害にあったことがないから、この土地は大丈夫だと思うけど。
例えば東日本大震災の津波は、過去をさかのぼると、過去にもあの場所で大津波を経験していたんだ。そのたびに高台移転をしていたんだけど、時がたってみんな忘れちゃって、結局また海岸沿いに戻って被災しちゃったんだ。自然災害っていうのは、それぐらいの周期で発生しているから、自分が生きている間に発生していないから大丈夫ということにはならないんだよ。
地形は過去の自然災害を記録しています。そのため、地形を調べることでその土地の過去の自然災害の発生履歴をある程度知ることができます。過去に発生した自然災害は、現代でも再び発生する可能性を十分に秘めています。これが、地形を調べることで自然災害のリスクがある程度把握できる理由です。
地形とは、その名の通りその土地の形です。土地の形から土地の成り立ちを読み解くことができます。以下の図をご覧ください。学校の理科の授業で習った記憶がある人もいると思いますが、川の流れによってできた地形として、旧河道や三日月湖、自然堤防、後背低地などに分類することができます。
ハザードマップからわかる災害リスクとの違い
自然災害リスクって、ハザードマップからも把握できるよね?わざわざ地形を見なくても良いのでは?
そういった疑問を抱く人もいると思います。これに対する答えは以下になります。
ハザードマップには掲載されていない災害リスクがあります。そういった災害リスクを地形から確認することができます。
実はハザードマップは、あらゆる災害リスクが掲載されているわけではありません。例えば、ハザードマップに掲載されている洪水の浸水想定区域は、多くの場合規模の大きい河川しか掲載されていません。小規模の河川は掲載されていないことが多いのが実態です。
ですが、一般的に規模の小さい河川の方が氾濫はしやすく、実際に規模の小さい河川の氾濫よる被害も発生しています。この様に、ハザードマップでは掲載されていない災害リスクを把握するために地形を活用するのは非常に有効であると言えます。
- ハザードマップには、規模の小さい河川の浸水想定区域は掲載されていないことが多い
- 規模の小さい河川ほど頻繁に氾濫し、実際に被害も出ている。
- 地形を確認することで、規模の小さい河川の氾濫で危険な場所も把握することができる。
地形の概要がわかったところで、次に地形からわかる自然災害リスクについて解説します。
地形からわかる自然災害リスク
地形からは様々な自然災害のリスクを読み解くことができます。具体的には、浸水しやすい土地、地震で揺れやすい土地、液状化しやすい土地を知ることができます。1つ1つ解説をしていきます。なお、以下で紹介する地形以外にも浸水や液状化のリスクがある地形、揺れやすい地形はあります。まずは基礎知識として、これらの地形でリスクが大きいことを覚えておきましょう。
地形からわかる浸水しやすい土地
浸水しやすい土地は”低地”と”人口地形”です。低地は浸水しやすく水はけが悪い特徴があります。低地や人口地形をもう少し細かく分類してみましょう。以下の地形が浸水リスクの高い地形になります。
地形分類 | 概要 | 浸水リスク |
谷底平野・氾濫平野 | 河川の堆積作用により形成された低平な土地 | 高 |
海岸平野・三角州 湖岸平野・三角州 | 海(湖)水面の低下によって陸地となった平坦地や、河 口における河川の堆積作用によって形成された平坦 地 | 高 |
後背低地 | 自然堤防や砂(礫)堆などの背後に位置し、河川の堆 積作用が比較的及ばない低湿地 | 高 |
旧河道 | 低地の一般面の中で周囲より低い帯状の凹地で過去 の河川流路の跡 | 高 |
高い盛土地 | 周囲の土地との比高が約 2m 以上の盛土地 | 高 |
盛土地 | 主として低地に土を盛って造成した平坦地 | 高 |
埋土地・埋立地 | 沼沢地、河川敷、谷などを周囲の土地とほぼ同じ高さ にまで埋立てて造成した土地 | 高 |
干拓地 | 潮汐平地や内陸水面を排水して造成した平坦地 | 高 |
凹陥地 | 砂利採取跡、溜池跡などの人工的な凹地 | 高 |
地形からわかる地震で揺れやすい土地
地形を見ることで、地震で揺れやすい土地を見分けることもできるようになります。市町村などから揺れやすさマップが公表されている場合もありますが、このマップを作成する時にも地形分類が使われています。
地震で揺れやすい土地というのは、浸水しやすい土地と似ていて、低地や人口地形です。具体的には、以下の地形が揺れいやすい地形になります。
地形分類 | 概要 | 揺れやすさ |
海岸平野・三角州 湖岸平野・三角州 | 海(湖)水面の低下によって陸地となった平坦地や、河 口における河川の堆積作用によって形成された平坦 地 | 大 |
後背低地 | 自然堤防や砂(礫)堆などの背後に位置し、河川の堆 積作用が比較的及ばない低湿地 | 大 |
旧河道 | 低地の一般面の中で周囲より低い帯状の凹地で過去 の河川流路の跡 | 大 |
高い盛土地 | 周囲の土地との比高が約 2m 以上の盛土地 | 大 |
埋土地・埋立地 | 沼沢地、河川敷、谷などを周囲の土地とほぼ同じ高さ にまで埋立てて造成した土地 | 大 |
干拓地 | 潮汐平地や内陸水面を排水して造成した平坦地 | 大 |
地形からわかる液状化しやすい土地
地形から、地震時に液状化しやすい土地を知ることもできます。液状化は家が傾いたりするなど、大きな被害を引き起こします。東日本大震災で広範囲で液状化が発生したことを覚えている人もいるのではないでしょうか。
地震で液状化しやすい地形は、低地の微高地や低地、人口地形です。具体的には、以下の地形が揺れいやすい地形になります。
地形分類 | 概要 | 液状化リスク |
緩扇状地 | 河川が山地から出た地点に河川が運び出す土砂が 堆積して形成された扇形の地形 | 大 |
自然堤防 | 洪水時に運ばれた砂やシルトが、流路沿いまたはそ の周辺に堆積してできた高まり | 大 |
砂(礫)堆・州 | 沿岸流や波浪により作られた砂礫質の高まり | 大 |
天井川沿いの微高地 | な河川の堤防に沿って形成された 半人工的な高まり | 大 |
谷底平野・氾濫平野 | 河川の堆積作用により形成された低平な土地 | 大 |
海岸平野・三角州 湖岸平野・三角州 | 海(湖)水面の低下によって陸地となった平坦地や、河 口における河川の堆積作用によって形成された平坦 地 | 大 |
後背低地 | 自然堤防や砂(礫)堆などの背後に位置し、河川の堆 積作用が比較的及ばない低湿地 | 大 |
旧河道 | 低地の一般面の中で周囲より低い帯状の凹地で過去 の河川流路の跡 | 大 |
高い盛土地 | 周囲の土地との比高が約 2m 以上の盛土地 | 特大 |
盛土地 | 主として低地に土を盛って造成した平坦地 | 特大 |
埋土地・埋立地 | 沼沢地、河川敷、谷などを周囲の土地とほぼ同じ高さ にまで埋立てて造成した土地 | 特大 |
干拓地 | 潮汐平地や内陸水面を排水して造成した平坦地 | 特大 |
凹陥地 | 砂利採取跡、溜池跡などの人工的な凹地 | 特大 |
地形と自然災害リスクの簡単な調べ方
地形の分類は、国土交通省が公表しているハザードマップポータルサイトを使うことで簡単に調べることができます。日本全国の地形分類が公開されているわけではありませんが、人が住んでいる地域の大部分の地形分類が公開されているため、まずはこのサイトを確認することをオススメします。
地形分類を見るためには、ハザードマップポータルサイトにアクセスして下さい。以下の画面が開いたら、「地形分類」のアイコンをクリックします。
日本地図の中から、確認したい場所で左クリックをして下さい。そうすると、以下の画面のように、その場所の地形分類や土地の成り立ち、この地形の自然災害リスクがポップアップで表示されます。
こんなに簡単に地形と自然災害リスクが調べられるなら、わざわざ地形に関する細かい知識を覚えておく必要はないね。
その通り。今はこの様にハザードマップポータルサイトで簡単にその場所の地形と自然災害リスクが表示されるので、抵抗感なく地形からの災害リスクを調べることができます。ただし、地形の知識を知っておいた方が良いのは確かですが。
いかがでしょうか。想定していたよりも簡単に地形と自然災害リスクを調べられると思った人は多いのではないでしょうか。まずは自分が住んでいる土地の自然災害リスクをハザードマップポータルサイトから調べてみて下さい。
なお、留意点としては、ハザードマップポータルサイトで確認できる地形分類からわかる自然災害リスクはあくまでも一般的な話で、個別の場所のリスクではないことに注意しましょう。
まとめ
自然災害リスクを調べるにあたり、地形を調べることはとても重要なことです。地形と自然災害リスクは非常に関連が深いことは間違いありません。
自然災害リスクを把握するためにハザードマップを確認するというのは正しい行動ですが、それと同じぐらい地形を確認することは重要です。
最後に、地形と自然災害リスクの関係の一覧表を紹介します。
記事を読むことで地形の重要性を認識していただき、災害リスクの把握に役立てていただけますと幸いです。
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