子供向けの防災教育って何をしたら良いかわからない。特に最近は、河川の氾濫が全国で発生しているから、水害についてしっかりと教育したい。
私もそう思う。自分の身は自分で守れるようにしておかないと。子供のうちからしっかりと防災教育はしておきたい。
そんな悩みをもつ親は多いのではないでしょうか。学校でも防災に関する教育はカリキュラムに入っていて、基本的な知識は学んではいますが、それでもまだ不安だという親も多いのではないでしょうか。
水害から身を守るためには、次の3点をしっかりと理解している必要があります。
- 自宅の周辺にはどんな災害リスクがあるか?
- 避難する場所はどこか?
- 避難するタイミングは?
これらをしっかりと理解して、自分自身で行動できるレベルに達している子供はそれほど多くは無いと思います。災害時は何があるかわかりません。子供1人だけでも、災害時にちゃんと避難できるようにしておくことが身を守る上で最も重要と言えます。
この記事を読むことで、子供が1人で避難するための知識を身につけることができます。是非最後まで読んで、子供の防災教育に役立てて下さい。
また、夏休みの自由研究などでも使える内容となっています。
風水害とは何か
風水害ってどんな災害があるの?河川の氾濫や土砂災害、津波はわかるけど、それ以外にもあるの?
風水害には河川の氾濫、土砂災害、津波以外にも、高潮や内水氾濫などがあります。これらは一般的に人的被害が出やすい災害ですので、避難が必要なタイミングで市町村から避難指示などの避難情報が発表されます。
以下ではそれぞれの災害の概要を解説します。ここでは概要のみ紹介しますが、より詳しいことを知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
河川の氾濫(洪水)
河川の氾濫(洪水)は、堤防が決壊するなどして発生する災害です。近年は雨の降り方が強くなっており、毎年のように全国各地で河川が氾濫し、人的被害が発生しています。
河川の氾濫は以下の順序で発生します。
- 河川の周辺(流域)で雨が降る。
- 河川の水位が上昇する。
- 堤防の決壊や堤防を越えることで氾濫が発生する。
ポイントは、氾濫が発生する前に必ず雨が降ったり、水位が上昇したりするため、ある程度事前に予測ができることです。河川の近くに住んでいる人は要注意です。
内水氾濫
内水氾濫は、降る雨の量に対して、下水道の処理能力が追い付かないことなどにより発生する災害です。大きな水たまりができるイメージです。
近年は集中豪雨が増加傾向にあり、内水氾濫による被害も毎年のように発生しています。河川が氾濫しなくても浸水するリスクがあるということは覚えておきましょう。低い土地に住んでいる人は要注意です。
高潮
高潮は台風や低気圧に伴って発生する災害です。気圧が低いことにより、「①海水面を吸い上げる効果」と、「②風により陸地に吹き寄せる効果」により、海水が陸地に流れ込む災害です。
幸いにも近年は大きな高潮は発生していませんが、過去には大きな被害を発生させた事例があります。特に有名なのが伊勢湾台風で、死者数は4,697人という非常に大きな被害を発生させました。
海水面が上昇することで河川氾濫を引き起こすこともありますので、海岸沿いや河川沿いに住んでいる人は注意が必要です。
土砂災害
土砂災害は、強い雨が降ったり、地震が発生したりすることにより発生する災害です。地震による土砂災害は事前に予測することは難しいのですが、強い雨による土砂災害はある程度事前に予測することができます。
土砂災害は巻き込まれると命を落とす確率がとても高い災害です。実際に、近年でも土砂災害により命を落とす人は毎年のように発生しています。そのため、事前に安全な場所に避難することが非常に重要です。崖の近くに住んでいる人などは要注意です。
津波
東日本大震災により巨大津波が発生したことで、日本全国民の津波に対する意識は格段に向上しました。津波は基本的に海底で地震が発生することにより引き起こされる災害です。
津波も命を落とす確率が高い災害であり、事前に安全な場所に避難することが何よりも重要です。海岸沿いに住んでいる人は要注意です。
【確認事項①】自分の家の周りの災害リスクを把握しよう
災害時に避難できるようにするためには、まずは何を確認すれば良いの?
まず最初に、その場所の災害リスクを把握しましょう。河川の氾濫で被災するリスクがあるのか、土砂災害で被災するリスクがあるのか、といったことを、市町村が作成しているハザードマップを使って把握しましょう。
「〇〇市 ハザードマップ」と検索すると、お住いの市町村のハザードマップを見ることができます。まずは一度検索をしてみて、お住いの場所にどの様な災害リスクがあるか、確認をしましょう。
【具体例で解説】東京都世田谷区の二子玉川駅周辺
ここでは具体例として、東京都世田谷区の二子玉川駅周辺の災害リスクを見てみます。世田谷区のハザードマップを確認すると、「多摩川洪水版」と「内水氾濫・中小河川洪水版」で浸水が想定されていることがわかりました。一方で、土砂災害や高潮、津波の災害リスクはないことがわかりました。
「内水氾濫・中小河川洪水版」に記載されている色は黄色であり、これは「水の深さ0.1m~0.5m」で床下浸水レベルの浸水ですので、避難が必要になるレベルではないことがわかります。そのため、二子玉川駅周辺で気にするべき災害リスクは多摩川の洪水ということになります。多摩川の洪水はハザードマップでピンク色になっていますので、非常に危険であることがわかります。
- 災害リスクを把握するため、お住いの市町村のハザードマップを確認する。
- 「〇〇市 ハザードマップ」と検索し、河川氾濫や内水氾濫、土砂災害、高潮、津波それぞれのハザードマップを確認する。
【確認事項②】避難する場所を把握しよう
災害リスクが把握できたら次は何を確認すれば良いの?
次は避難する場合の避難先を確認しましょう。避難先はハザードマップに「避難場所」として記載されています。災害ごとに避難場所は異なりますのでご注意下さい。例えば、河川氾濫の避難先としての避難場所と、土砂災害の避難先としての避難場所は異なります。
ハザードマップを確認して、自宅近くの「避難場所」を避難先として把握しておきましょう。ちなみに、避難場所と避難所は似ている言葉ですが、全く違うものです。ここでは「避難場所」に避難する、ということをまずは覚えておきましょう。避難場所と避難所の違いは以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はこちらも併せてご確認下さい。
【留意点】
避難場所への避難が避難先の全てではありません。親戚や知人宅への避難や、宿泊施設を自分で確保して避難することも推奨されます。また、想定される浸水の深さそれほど深くないなど、自宅に留まっても安全と思われる場合は、自宅に留まることもできます。
また、避難しようとした時に、すでに浸水が始まっているなど、避難場所に避難することがかえって危険と思われる場合は、自宅などの可能な限り安全な場所に避難することもあり得ます。
事前に色々な状況を想定してシミュレーションしておくことが重要です。
【具体例で解説】東京都世田谷区の二子玉川駅周辺
再び具体例として、東京都世田谷区の二子玉川駅周辺の避難場所を確認してみます。世田谷区は、「避難場所」という言葉を使わず、市独自の名称としてハザードマップに以下の名称が記載されていました。
- 「避難場所」ではなく、「水害時避難所(第一次)」の名称を使用
- 「避難所」ではなく、「水害時避難所(第二次)」の名称を使用
つまり、避難先としては「水害時避難所(第一次)を確認すれば良いことになります。
上で紹介した「ハザードマップ(多摩川洪水版)」を確認すると、二子玉川駅周辺から最も近い水害時避難所(第一次)は、「中町小学校」もしくは「玉川中学校」となります。
つまり、二子玉川周辺のお住いの方は、多摩川の氾濫の危険性が高まった時は「中町小学校」もしくは「玉川中学校」に避難するようにしましょう。
- 避難先は、ハザードマップを確認し、避難場所に避難するようにしましょう。
- 避難場所は災害の種類ごとに場所が異なりますので、事前にどの災害の時はどの避難場所に避難する、ということを決めておきましょう。
【確認事項③】避難するタイミングを把握しよう
自宅で想定される災害リスクと、避難先がわかったら、あと把握すべきことは避難するタイミングかな?それがわかれば子供一人でも避難することができるかも。
その通りです。避難するタイミングは、基準が全国で統一されていますので、まずはその基準を覚えましょう。
避難を開始するタイミングで必ず覚えておくべきことは、警戒レベル4の「避難指示」と、警戒レベル3の「高齢者等避難」です。自宅に高齢者等避難に時間のかかる人がいる場合は、警戒レベル3の「高齢者等避難」で避難を開始しましょう。避難に時間のかかる人がいない場合は、警戒レベル4の「避難指示」で避難を開始しましょう。
「避難指示」と「高齢者等避難」の情報は、市町村から発令されます。
これらの情報が発令された場合は、市町村のホームページや防災行政無線、携帯電話の緊急速報メールなどで知ることができます。情報提供の方法は市町村によって異なりますので、お住いの市町村のホームページから確認しましょう。
【具体例で解説】東京都世田谷区の二子玉川駅周辺
世田谷区のホームページを確認すると、高齢者等避難や避難指示が発令された時の伝達方法は以下の通りと記載されていました。
これらのツールを使って避難情報を確認し、高齢者等避難や避難指示が発令された時は、【確認事項②】で確認した水害時避難所(第一次)である「中町小学校」もしくは「玉川中学校」や親戚・知人宅、自分で用意した宿泊施設等に避難するようにしましょう(※すでに浸水が始まっているなど、外に避難することがかえって危険な場合は、自宅などの可能な限り安全な場所に避難することも選択肢です)。
- 状況に合わせて、警戒レベル4の「避難指示」と、警戒レベル3の「高齢者等避難」で避難を開始するようにしましょう。
- 情報提供の手段は市町村によって異なりますので、市町村のホームページなどで事前に確認するようにしましょう。
まとめ
災害時には何があるかわかりません。いざという時には、子供が1人でも避難できるよう、必要な知識を身につけることが重要です。
この記事では、子供が一人でも避難ができるよう、必要最低限のことだけを紹介しました。この記事に書かれたことだけを事前に確認しておけば、最低限の避難行動はとることができるようになります。
この記事を子供の防災教育に活かしていただき、子供が災害の犠牲になるという痛ましい事態を防いでいければと考えております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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