【災害時のライフライン】洪水等の水害による浸水時にライフラインは停止する?有効な対策は?

風水害対策
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地震の時はライフラインが止まっている印象があるけど、水害の時はライフラインはどうなるの?

マンションの上層階に住んでいればライフラインは大丈夫なのかな?

災害発生時に1番困ることの1つとして、ライフライン(ガス、電気、通信、水道)の停止があります。ライフラインが停止をしてしまうと、当然ながら通常の生活を送ることはできません。

では、なぜ災害が発生するとライフラインが停止するのでしょうか。大きな地震が発生した時には、物理的にライフラインの設備が破壊されるので、ライフラインが停止するのはイメージがつくと思います。

一方で、洪水や高潮などの水害時にはなぜライフラインが停止するのでしょうか?この点についてはイメージが湧かない人もいるかもしれません。この記事では以下のことについて解説をします。

この記事を読んでわかること
  • 洪水等の水害による浸水でライフラインは停止する。
  • 浸水でライフラインが停止する理由
  • ライフラインを停止させないための対策
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都市ガス

都市ガス設備が浸水するとどうなるか

都市ガスを使用している家庭には、上図の右下にあるマイコンメータが設置されています。このマイコンメータは通常、地上から1m程度の高さに設置されていますので、浸水深が1m程度以上となる場合には、このマイコンメータが浸水します。マイコンメータはある程度の気密性を有しているので、短時間の浸水では影響を受けることはありませんが、浸水が長期にわたる場合は影響を受けることがあります

また、浸水深が2m程度となると、地区ガバナの大気圧を測定している管が浸水し、地区ガバナが自動停止します。地区ガバナとは、圧力調整器のことで、中圧のガスを低圧に下げて家庭やオフィスで使えるようにする機器です。

結論としては、1m程度の浸水が長期間継続する場合、もしくは2m程度の浸水となる場合に、各家庭やオフィスのガスは停止します。

一般家庭の利用者ができる都市ガス設備の浸水対策

基本的に一般家庭では低圧ガスを使いますので、地区ガバナが浸水をしてガスの供給が停止してしまうと、利用者はどうすることもできません。

考えられる対策としては、低圧ガスではなく中圧導管に直結することです。中圧導管は浸水により停止するリスクは極めて低いと言えます。一方で、多額のコストがかかる可能性があり、一般家庭では現実的ではないというのが実態です。都市ガス供給事業者に、地区ガバナの耐水化を推進していただくことが唯一の解決策です。

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電気

出典:洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(内閣府)

電気設備が浸水するとどうなるか

浸水により電気が停止する要因は多くあります。

まず、配電用の変電所の浸水による停電です。変電所が行っている浸水対策以上に水位が上がり、制御装置などが浸水した場合、その供給エリア内は停電します。

また、近年は電線を地中に埋める無電柱化の施策が進められています。これは地震による電柱の倒壊対策としては有効ですが、その一方で浸水には脆弱になります(この事実は知らない人が多い)。地中配電線は一定間隔で路上機器が設置されており、この路上機器は必ず排熱のための開口があります。そのため、浸水深が1m程度になると、路上機器の開口から浸水することにより電力の供給が停止します。

さらに、住宅のコンセントが浸水して漏電した場合には、漏電遮断機が動作してその住宅では電力が使えなくなります。

結論としては、変電所の浸水や、一般家庭のコンセントの浸水により電力が使えなくなる可能性があります。また、無電柱化している地域は電力が使えなくなる可能性があります。

一般家庭の利用者ができる電気設備の浸水対策

電気設備の浸水対策として利用者ができることとしては、コンセントを可能な限り高い位置に設置することです。コンセントは通常の過程では床に近い場所に設置することが一般的ですが、浸水対策のことを考えると可能な限り高い位置に設置することが望ましいです。今後、住宅の購入を考えている場合は、まずはその場所が浸水するリスクがあるかを確認し、浸水の深さを確認した上で、浸水の深さよりも高い位置にコンセントを設置することを検討してみて下さい。

また、自家用発電機や蓄電池等を持っておくことも有効です。

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通信(固定通信)

出典:洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(内閣府)

通信設備(固定通信)が浸水するとどうなるか

浸水により通信ケーブルが破断することなどにより固定通信が使用できなくなる可能性があります。

浸水により停電した場合でも、通信建物・基地局設備は通常1日間は予備電池や予備発電機により運転を継続することができますが、停電期間が1日以上となる場合には電源喪失により固定通信が使用できなくなる可能性があります(燃料を補給できれば継続運転可能)。

また、戸建住宅や集合住宅のコンセントやモジュラージャック、集合住宅等に設置された主配電盤(MDF)の浸水や停電により、固定電話や固定通信が停止する可能性もあります。

一般家庭の利用者ができる通信設備(固定通信)の浸水対策

固定通信の浸水対策として利用者ができることとしては、コンセントやモジュラージャックをなるべく高い位置に設置することや、集合住宅の場合は主配電盤(MDF)を耐水性能の強化があります。

コンセントは通常の過程では床に近い場所に設置することが一般的ですが、浸水対策のことを考えると可能な限り高い位置に設置することが望ましいです。今後、住宅の購入を考えている場合は、まずはその場所が浸水するリスクがあるかを確認し、浸水の深さを確認した上で、浸水の深さよりも高い位置にコンセントやモジュラージャックを設置することを検討してみて下さい。

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通信(移動通信)

出典:洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(内閣府)

通信設備(移動通信)が浸水するとどうなるか

基本的には基地局が停止すれば通信が停止しますので、基地局の浸水対策がされているかが重要になります。基地局は、通信会社が通信専用として建設した建物の基地局(専用ビル基地局)と、一般の民間企業が所有しているビルに設置している基地局(一般ビル基地局)の2種類があります。

専用ビル基地局は非常用電源を備えており、停電したとしても1日程度であれば燃料が備えられています。停電が1日以上継続する場合でも、給油により非常用電源を継続運転することが可能です。

一般ビル基地局は建物のスペースや荷重の制限により、燃料やバッテリー容量が小さい場合が多く、短時間の停電でも停止してしまう可能性が十分にあります。

都市部では専用ビル基地局はごく少数で、ほとんどが一般ビル基地局ですので、浸水により停電が発生することで移動通信は使用できなくなる可能性が高いです。

また、浸水により通信ケーブルが破損等をすることで、通信が途絶える可能性もあります。

一般家庭の利用者ができる通信設備(移動通信)の浸水対策

停電により基地局が停止して移動通信が止まることに対して、利用者ができる対策は基本的にはありません。移動通信の供給事業者が、例えば以下の対策を進めていくことが必要です。

  • 移動基地局車や可搬型基地局の活用
  • 衛星通信の活用
  • 基地局カバーエリアの広域化
  • 燃料対策
  • 通信ケーブルの破損対策
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上水道

出典:洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ(内閣府)

上水道設備が浸水するとどうなるか

集合住宅に住んでいる場合、一般的に4階以上の階層は増圧ポンプによって上水道を供給しています。そのため、停電により増圧ポンプが使えなくなった場合は、上層階への給水はできなくなり、上水道は停止します。

また、もし上流部の工場等から化学物質や油等が流出して浄水場に流れ込んでしまった場合は、浄水処理に支障をきたし、上水道が停止することもあり得ます。

結論としては、4階以上の階層に住んでいる人は上水道は使えない可能性が高いです。また、3階以下に住んでいる人も、浄水処理に支障をきたすことで上水道が停止する可能性があります。

一般家庭の利用者ができる上水道設備の浸水対策

上水道の停止への備えは、飲料水や生活用水の備蓄です。ハザードマップなどに浸水が継続する日数がどの程度か記載されていますので、継続する日数分の備蓄を平時からしておくことが必要です。

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一般家庭の利用者ができるライフライン浸水対策まとめ

最後に、一般家庭の利用者ができるライフライン浸水対策をまとめます。

一般家庭の利用者ができるライフライン浸水対策
都市ガス●利用者ができる対策は基本的にはありません
電力●コンセントを可能な限り高い位置に設置
●自家用発電機や蓄電池等を持っておく
固定通信●コンセントやモジュラージャックをなるべく高い位置に設置
●主配電盤(MDF)を耐水性能の強化(集合住宅の場合)
移動通信●利用者ができる対策は基本的にはありません
上水道●飲料水や生活用水の備蓄

個人でできることは限られますが、ライフライン事業者の対策は時間がかかりますので、自分でできる対策は可能な限り自分で行っておくことを推奨します。移動通信の確保などは個人でできることは基本的にありませんが、飲料水の備蓄など、できることから始めましょう

この記事を読むことで、まずは発災時にライフラインが停止する可能性が十分にあることを知っていただき、皆様が行動に移す契機となれば幸いです。

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