【耐震等級とは】地震に対する木造戸建住宅やマンションの耐震性能を確認

地震/津波/火山対策
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夫

戸建住宅やマンションの購入を考えているんだけど、日本は地震が多い国だし、耐震性能がしっかりしている建物を選びたい。

妻

耐震等級というものがあると聞いたことがあるけど、具体的に耐震等級って何なのかわからない。誰か教えてほしい。

この記事では、耐震等級の基本について解説していきます。この記事を読むことで、以下を知ることができます。

  • 耐震等級とは何か
  • 耐震等級の区分(等級1・等級2・等級3の違い)
  • 2016年熊本地震での建物被害からわかる耐震等級3の耐震性能
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耐震等級とは

耐震等級は、地震に対する建物の強さの性能を示したものです。平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に基づいて「住宅性能表示制度」が始まりました。この「住宅性能表示制度」の項目は、次の10分野から成り立っています。

【住宅性能表示制度の10項目】

  1. 構造の安定に関すること
  2. 火災時の安全に関すること
  3. 劣化の軽減に関すること
  4. 維持管理・更新への配慮に関すること
  5. 温熱環境・エネルギー消費量に関すること
  6. 空気環境に関すること
  7. 光・視環境に関すること
  8. 音環境に関すること
  9. 高齢者等への配慮に関すること
  10. 防犯に関すること

住宅は、地震や暴風、積雪など、様々な力を受けます。これらの力により、建物が壊れたり損傷し、財産としての価値を失ったり、居住者の生命が脅かされたりします。そのため、「住宅性能表示制度」で「構造の安全に関することを表示することとしています。さらに、「構造の安全に関すること」の具体として、以下の性能を表示することとされています。

【構造の安全に関することの具体的な項目】

  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
  • 耐震等級(構造躯体の損傷防止)
  • その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法
  • 基礎の構造方法及び形式等

このように、地震、暴風、降雪の3種類の力がどの程度まで大きくなると建物が傷を受けるか、あるいは壊れるかを等級により表示することとしています。その中の項目の1つとして、耐震等級があります

耐震等級は、「倒壊等防止」と「損傷防止」という2つの目標に対して、構造躯体の強さが確保できているかを評価・表示します。等級が高くなるほど、大きな力に耐える住宅となります。

倒壊等防止とは

「倒壊等防止」とは、数百年に1回起こりうる大きさの地震に対して、損傷は受けるものの、人命が失われるような壊れ方をしないようにすることを言います。これは震度6強から7に相当します。

損傷防止とは

「損傷防止」とは、数十年に1回は起こり得る地震に対して、大規模な工事が伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じないようにすることを言います。これは震度5程度に相当します。

これらの等級について住宅の性能評価を行った結果は、住宅性能評価書として交付されます。評価書には、設計図書の段階評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と、施工段階と完成段階の検査を経た評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書」の2種類があります。

出典:新築住宅の性能表示制度ガイド(平成28年4月1日改訂版)(国土交通省)
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耐震等級の区分

続いて耐震等級の区分について解説します。耐震等級は3段階に分けられています。基本となる等級が耐震等級1で、数字が大きくなるほど耐震性能が高くなります。

耐震等級1

耐震等級1は基本となる等級で、震度6強や震度7といった数百年に一度発生する地震に対して、損傷はするものの倒壊や崩壊はしない程度の強度を持つように構造計算されています。また、震度5程度の数十年に一度発生する地震に対して、損傷しないように構造計算されています。一般的な木造戸建住宅では、耐震等級1であることがあります。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震強度を有するよう計算されています。「長期優良住宅」として認定を受ける住宅は耐震等級2以上の強度が必要となります。また、災害時の避難所として指定される建物は、耐震等級2以上が必須となります。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度を有するよう計算されています。住宅性能表示制度では最も高い耐震性能を持つ等級であり、大きな地震を受けてもダメージは小さく済みます。そのため、災害時の救護活動等の拠点となる消防署や警察署などの多くが耐震等級3となっています。2016年に発生した熊本地震では、国土交通省の調査によると、震度7の揺れが2度ありましたが、耐震等級3の建物については2度の大地震に耐えたことが明らかになっています。熊本地震の調査結果についての詳細は次の章で解説します。

以上より、耐震等級1~3をまとめると、下図の通りとなります。

出典:新築住宅の性能表示制度ガイド(平成28年4月1日改訂版)(国土交通省)
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2016年熊本地震での建物被害からわかる耐震等級3の耐震性能

熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会(報告書)(国土交通省国土技術政策総合研究所)

2016年に発生した熊本地震では、震度7の地震が2度発生し、甚大な被害をもたらしました。熊本地震を踏まえて国土交通省が実施した調査によると、耐震等級が3の建物には大きな損傷が見られなかったことがわかっています。

以下が調査結果報告書の耐震等級に関する記述の引用になります。

悉皆調査エリア内に住宅性能表示制度を活用した木造住宅は 19 棟あり、このうち、構造躯体の5 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)が等級 3 であった 16 棟は 14 棟が無被害、2 棟が軽微又は小破の被害、等級 2 であった 2 棟は 1 棟が無被害、1 棟が軽微の被害、等級 1 であった 1 棟は軽微の被害であった。耐震等級 3 のものについて大きな損傷が見られず大部分が無被害であったのは、壁量が多く確保されていることなど、より高い耐震性を確保したことによるものと考えられる。

大きな被害のあった益城町中心部においても、住宅性能表示制度に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)が3のものには大きな損傷が見られず、大部分が無被害であった。このため、10 木造住宅に関して消費者に向けてより高い耐震性能を確保するための選択肢を示す際には、住宅性能表示制度の活用が有効と考えられる。

引用:熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会(報告書)(国土交通省国土技術政策総合研究所)

報告書によると、耐震等級3がより被害が少なかったということですが、耐震等級1や2でも大きな被害が無かったという事実にも注目しても良いと思います。耐震等級1で求められる「震度6強や7で倒壊や崩壊はしない」という耐震性能はしっかりと満たしていることが確認できました。

結論

現行の耐震基準であれば震度7が来ても大きな損傷は出ないと考えられるものの、耐震等級が高い方がより損傷が少なくなる

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最後に

この記事では、耐震等級について解説しました。なお、旧耐震基準と新耐震基準の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はこちらも併せてご覧ください。

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