中部圏(名古屋・岐阜)の浸水リスク~伊勢湾台風高潮災害を忘れてはいけない~

風水害対策
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中部圏(愛知県、岐阜県、三重県)の”買って住みたい”街や駅のランキングを目にする機会がありました。その結果、1位は名古屋、2位は岐阜となっていました。

1位が名古屋というのは当たり前だと思うけど、、、このブログで取り上げるということは災害のリスクがあるの。。。?

名古屋や岐阜は、遥か昔から大規模な水害に悩まされてきた場所です。小さいころから名古屋や岐阜に住んでいる人は、学校で”伊勢湾台風”、”ヨハニス・デ・レーケ”といった言葉を聞いたことがある人もいると思います。学校教育の中でも、木曽三川(木曽川、揖斐川、長良川)による大規模な水害を学ぶ機会が多いと思います。

この記事では、中部圏(名古屋・岐阜)の浸水リスクを取り上げます。具体的には、この記事を読むことで以下がわかるようになります。

  • 過去に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風高潮災害とは。
  • 名古屋の浸水リスク
  • 岐阜の浸水リスク

伊勢湾台風高潮災害とは

出典:災害教訓の継承に関する専門調査会報告書(内閣府)

伊勢湾台風は昭和34年に和歌山県に上陸したのち、名古屋に接近し、日本海に抜けていった台風で、高潮災害により伊勢湾に広がる低地帯に甚大な被害をもたらしました。東海地方を中心に、中国や四国、北海道の広範囲に渡り、死者数は4,697人、不明者数は401を出す大災害となりました。

伊勢湾台風高潮災害により浸水した範囲が以下の図です。愛知県の西部を中心に非常に広い範囲で浸水被害が発生したことがわかります。

出典:伊勢湾台風復旧工事誌 上巻

この災害をきっかけに、日本の防災対策の原点となる「災害対策基本法」が制定されました。つまり、現在の災害対策は、この伊勢湾台風を起点として始まったと言えます。

名古屋の浸水リスク

過去には伊勢湾台風高潮災害をはじめ、大規模な水害被害が発生してきた中部圏ですが、現在はどの様な浸水リスクが想定されているのでしょうか。以下では、現在想定されている浸水リスクを紹介します。

名古屋の洪水による浸水リスク

出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

最初に紹介するのが、洪水による浸水リスクです。愛知県の西部には、木曽三川(木曽川、揖斐川、長良川)という規模の大きい河川が3本あります。この場所では、昔からこの3本の河川の洪水に悩まされてきました。

木曽三川をはじめ、現在河川氾濫による浸水が想定されている地域が上の図になります。ピンクや黄色で塗られている場所が、浸水のリスクが想定されている場所です。ご覧の通り、非常に広範囲で浸水のリスクがあることがお分かりいただけると思います。深いところでは、10m以上の浸水が想定されています。

名古屋では、中区や東区、昭和区などは比較的安全ですが、西側の地域に住む場合は、浸水リスクが極めて高いことを認識しておき、日ごろから備蓄などの準備を行っておくことが必要となります。

名古屋の津波による浸水リスク

出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

次に、津波による浸水リスクを紹介します。津波は海で発生した地震により発生する災害です。

上の図が津波により浸水が想定されている範囲です。洪水ほどではないものの、海岸沿いを中心として広い範囲で津波による浸水が想定されています。東日本大震災での記憶が残っている人も多いと思いますが、津波は例え低い波だったとしても、ひとたび巻き込まれると人的被害が発生する可能性が高い災害です。浸水が想定されている地域に住むことを検討している人は、津波によるリスクもあることをしっかりと認識しておくことが重要です。

名古屋の地形からわかる災害リスク

出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

最後に、地形を見ることでわかる災害リスクを紹介します。上の図は、名古屋周辺の地形です。水色の範囲が広がっていますが、これは”低地”を示しています。名古屋はほとんどの地域が”低地”に分類されます。

低地は災害リスクが高い特徴があります。河川や海の流れによって運ばれた砂や泥が堆積してできた土地で、河川氾濫、高潮、地震による液状化、地震時に揺れやすいなどの特徴があります。非常に災害リスクの高い場所になりますので、自宅の購入を検討している人は十分に注意して購入するようにしましょう。

岐阜の浸水リスク

続いて、岐阜の浸水リスクを紹介します。岐阜市周辺も名古屋市周辺と同様に、過去にも河川氾濫による浸水被害が発生してきている場所です。

岐阜の洪水による浸水リスク

出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

上の図は、岐阜市周辺で想定されている浸水範囲です。ご覧いただいてわかる通り、広範囲で浸水が想定されており、浸水の深さも10m程度となっています。岐阜市周辺も木曽三川(木曽川、揖斐川、長良川)が流れており、これらの河川による甚大な洪水被害が想定されています。

岐阜市で浸水が想定される場所に自宅を購入する場合は、浸水リスクを十分に認識しておくことが重要です。特に、浸水が10m程度想定されている場所は、2階建ての戸建であっても水没してしまうリスクが十分にあります。その場合は、事前に避難する計画をしっかりと考えておく必要があります。

岐阜の地形からわかる災害リスク

出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

続いて地形からわかる災害リスクを確認してみます。地形は名古屋周辺と同様に”低地”となります。低地は災害リスクが高い特徴があります。河川や海の流れによって運ばれた砂や泥が堆積してできた土地で、河川氾濫、高潮、地震による液状化、地震時に揺れやすいなどの特徴があります。非常に災害リスクの高い場所になりますので、自宅の購入を検討している人は十分に注意して購入するようにしましょう。

まとめ

この記事では、中部圏の人気エリアである名古屋と岐阜の浸水リスクを紹介しました。まとめると以下になります。

名古屋の浸水リスク
  • 木曽三川をはじめ、河川氾濫による浸水により甚大な被害を受ける可能性がある。
  • 地震に伴う津波による被害も想定されている。
  • 地形的には”低地”に分類され、河川氾濫、高潮、地震による液状化、地震時に揺れやすいなどの特徴がある。
岐阜の浸水リスク
  • 木曽三川をはじめ、河川氾濫による浸水により甚大な被害を受ける可能性がある。
  • 地形的には”低地”に分類され、河川氾濫、高潮、地震による液状化、地震時に揺れやすいなどの特徴がある。

こういった災害リスクの高い場所に自宅を購入する場合は、事前にしっかりと対策を講じておくことが必要です。具体的には、以下について事前に検討をしておきましょう。

  • 自宅の何階まで浸水することが予想されているか。
  • 避難計画(在宅避難 or 避難場所への避難)。
  • 必要な備蓄量は(3日間?1週間)。

災害は事前の備えがとても重要です。危険な場所には住まないというのが最も重要ではありますが、やむを得ず住むことになった場合には、事前の備えをしっかりとしておくようにしましょう。

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