最近、梅雨や台風シーズンになるとよく警戒レベルという言葉を聞くけど、避難指示と何が違うの?それ以外にも氾濫危険水位だったり、言葉が多くてよくわからない、、、
この記事ではこの疑問に答えていきます。
近年は毎年のように大雨による洪水や土砂災害が発生しており、市町村から避難指示や高齢者等避難などの避難情報が発令されることが増えてきました。「警戒レベル〇」や「避難指示」といった情報を1度は耳にしたことがある人が多いのではないでしょうか。
一方で、その意味をしっかりと理解している人はそれほど多くないと感じています。避難を促す情報には、避難指示や高齢者等避難の他にも、氾濫危険情報や土砂災害警戒情報、気象警報など、様々な種類の情報があります。これらの情報まで含めると、全ての情報をしっかりと理解している人はごく少数だと思います。ですが、これらの情報をしっかりと理解しておかなければ、災害が差し迫っている時に市町村などから避難情報が発令されても、適切な避難行動に繋がらない可能性が生じます。
そのため、この記事では警戒レベルや避難指示、高齢者等避難などの各種避難情報についてわかりやすく解説します。
- 避難情報の種類
- それぞれの避難情報が持つ意味
- 避難情報が発令された時に私たちがとるべき避難行動
避難情報の種類とそれぞれの避難情報が持つ意味
避難情報は非常に種類が多く、複雑です。多種多様な避難情報を全て覚えることができれば良いのは間違いありませんが、多くの人にとって全てを覚えることは現実的ではありません。そのため、この記事では「必ず覚えておくべき避難情報」と「覚えておくと役に立つ避難情報」に分類して解説をしてみます。
必ず覚えておくべき避難情報
警戒レベル1~5
必ず覚えておくべき避難情報は「警戒レベル」です。多種多様な避難情報は全てに共通の警戒レベルが設定されており、避難情報発令の時は警戒レベルも併せて伝達することになっています。そのため、多種多様な避難情報の1つ1つを覚えておかなくても、警戒レベルさえ知っていれば、いざという時に適切なタイミングで避難することができるようになります。
警戒レベル1~5の持つ意味は上図の通りです。ここで覚えておくべき警戒レベルは3~5です。
警戒レベル3は避難に時間のかかる高齢者等に避難を促す情報です。高齢者や障碍者などの避難に時間のかかる方はレベル3の情報が発表されたら避難を開始するようにしましょう。
警戒レベル4は全ての住民に避難を促す情報です。警戒レベル4の情報が発表されたら、対象地域の住民は全員避難を解するするようにしましょう。
警戒レベル5は、何らかの理由で避難するタイミングを逃してしまい、すでに災害が発生し始めている状況で、命の危険から身の安全を可能な限り確保するため、その時点でいる場所よりも相対的に安全である場所へ直ちに移動することです。例えば、今いる建物の上層階に移動することなどが考えられます。
警戒レベルは考え方は非常にシンプルで覚えやすいので、この警戒レベルだけは必ず覚えるようにしましょう。
高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保
警戒レベルに続いて重要な情報は高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保の3つです。これらの情報は、お住いの市町村から発出されることになっており、ある程度地区が限定されて発令されますので、自分の地区に災害が迫っているということを認識しやすい情報です。
これらの情報には警戒レベルが設定されており、高齢者等避難は警戒レベル3、避難指示は警戒レベル4、緊急安全確保は警戒レベル5となっています。
- 高齢者等避難(警戒レベル3):高齢者等が避難を開始する情報
- 避難指示(警戒レベル4):全員が避難を開始する情報
- 緊急安全確保(警戒レベル5):相対的に安全である場所へ直ちに移動する情報
覚えておくと役に立つ避難情報(防災気象情報)
上で紹介した警戒レベルや避難指示などの情報は、全災害共通の情報ですが、災害ごとに発表される情報もあります。これらは防災気象情報と呼ばれます。例えば、洪水の危険性があるときに発表される氾濫危険情報や、土砂災害の危険性があるときに発表される土砂災害警戒情報などがあります。
これらは種類が多く、全てを覚えておくことは現実的ではありません。そのため、「覚えておくと役に立つ避難情報」として紹介をします。あまりにも情報が多く複雑ですので、ほとんどの人が途中で読むことをやめてしまうと思います。
洪水の危険性がある時に発表される情報
洪水に関する避難情報(防災気象情報)は、大河川と中小河川で異なります。
大河川(正確には洪水予報河川といいます)では、河川管理者が数時間先までの水位の予想をしており、その予測値に基づいて避難情報が発表されます。具体的には、「氾濫警戒情報」(警戒レベル3相当)、「氾濫危険情報」(警戒レベル4相当)、「氾濫発生情報」(警戒レベル5相当)の情報があります。
中小河川では、気象庁が公表している洪水警報の危険度分布があります。危険度に応じて地図上の河川の色が変わる仕組みとなっていて、「警戒(赤)」が警戒レベル3相当、「非常に危険(うす紫)」が警戒レベル4相当となります。
また、気象庁から発表される気象警報として、「洪水警報」(警戒レベル3相当)、「大雨特別警報」(警戒レベル5相当)といった情報もあります。
内水氾濫の危険性がある時に発表される情報
内水氾濫に関する情報としては、「内水氾濫危険情報」(警戒レベル4相当)の情報があります。
また、これ以外にも、気象庁から発表される気象警報として、「大雨特別警報」(浸水害)(警戒レベル5相当)の情報もあります。
土砂災害の危険性がある時に発表される情報
土砂災害に関する情報としては、気象庁が公表している大雨警報(土砂災害)の危険度分布のがあります。危険度に応じて地図上の色が変わる仕組みとなっていて、「警戒(赤)」が警戒レベル3相当、「非常に危険(うす紫)」が警戒レベル4相当となります。
また、気象庁から発表される情報として、「大雨警報(土砂災害)」(警戒レベル3相当)、「土砂災害警戒情報」(警戒レベル4相当)、「大雨特別警報(土砂災害)」(警戒レベル5相当)といった情報もあります。
高潮の危険性がある時に発表される情報
高潮については、「高潮氾濫発生情報」(警戒レベル5相当)のほか、気象庁から発表される気象警報として、「高潮警報に切り替える可能性に言及する高潮注意報」(警戒レベル3相当)や「高潮警報」(警戒レベル4相当)、「高潮特別警報」(警戒レベル4相当)の情報があります。
避難情報まとめ
↑改めて避難情報の一覧を再掲します。ここまで読んでいただいた人は、警戒レベルと避難情報、防災気象情報の関係性が理解できたのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、防災気象情報を全て理解することは並大抵の努力ではできません。例えば、同じ特別警報でも大雨特別警報は警戒レベル5相当ですが、高潮特別警報はレベル4相当であり、警戒レベルが異なります。そのため、防災気象情報は全て覚える必要はないと考えています。
一方で、警戒レベルや避難指示等の避難情報については、その持つ意味も含めて覚えておく必要があります。これさえ覚えておけば、災害の危険性が高まった時に適切なタイミングで避難行動をとることができるようになります。
毎年6月頃から出水期が始まり、雨の量が増えてきます。それまでには最低限警戒レベルと避難指示等の避難情報は頭に叩き込んでおき、いざという時に適切なタイミングで避難できるようにしておきましょう。
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