災害ってどんな種類があるの?
河川の氾濫や地震、火山噴火はわかるけど、高潮とか内水氾濫って何?
この記事では、そもそも自然災害にはどのようものがあるのか、それぞれの特徴や違い、対策方法について解説します。
自然災害の種類について
まず最初に、そもそも自然災害にはどの様な種類があるのかを解説します。日本の災害対策に関する法律として、「災害対策基本法」というものがあります。この法律の中では、「災害」の定義として以下が記載されています。
暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害
災害対策基本法
この様に、自然災害には様々なものがありますが、以下ではこれらの自然災害のうち、人的被害が発生しやすい災害である洪水等、土砂災害、高潮氾濫、津波、火山、地震について、その特徴などを解説をします。
自然災害毎の特徴、違い、対策について
洪水等(河川氾濫・内水氾濫)
洪水(外水氾濫)と雨水出水(内水氾濫)の違い
降雨により陸地で浸水が発生する現象は大きく分けて洪水(外水氾濫)と雨水出水(内水氾濫)があります。ここではまず、その違いについて解説します。
洪水(外水氾濫:がいすいはんらん)とは、いわゆる河川氾濫のことで、河川の水位が上昇し、堤防を越えたり破堤するなどして堤防から水があふれ出ることです。こちらはイメージしやすいと思います。
一方で雨水出水(内水氾濫:ないすいはんらん)は、大雨等による地表水の増加に排水が追いつかず、用水路、下水溝などがあふれて氾濫したり、河川の増水や高潮によって排水が阻まれたりして、住宅や田畑が水につかる水害のことを言います。
洪水での大河川と小河川の違い
河川氾濫を理解する上で、河川規模による現象の違いを知っておくことは極めて重要です。それにより、避難行動もかわってきます。
利根川や荒川などの大河川は、流域の広範囲に長時間降雨が続くことで、時間をかけてじわじわ水位が上昇します。そのため、氾濫発生の予測が比較的しやすい特徴を有しています。河川の流域は上流域の方が広く、上流域での降雨により河川水位が上昇するのが一般的ですので、自分がいる場所での降雨はそれほどではなくても、上流部の降雨により急激に河川の水位が上昇することがあります。そのため、洪水注意報が出た段階や上流に発達した雨雲等が見えた段階で河川敷等での活動は控えることが大切です。
一方で、中小河川はゲリラ豪雨のような局所的な降雨で急激に水位が上昇し氾濫が発生するため、氾濫発生の予測は大河川と比較すると難しくなります。短時間の集中豪雨等で浸水が発生し、避難情報の発令が間に合わないことがあることも考慮し、防災気象情報や河川の状況等を注視し、各自の判断で早めに避難行動をとることが大切です。
洪水等による浸水の危険性が高い場所の確認方法と避難方法
洪水による浸水の危険性が高い場所は、ハザードマップポータルサイトや各市町村HPに掲載されているハザードマップからご確認いただくことができます。
洪水により浸水が想定される地域にお住いの方で、行政から避難指示等や氾濫危険情報、内水氾濫危険情報等が発表された場合、あるいは大雨などで自ら危険と判断した場合は、自宅に留まるのではなく、避難場所等に立退き避難することが基本ですが、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認できた場合は、自らの判断で自宅に留まることも可能です。
土砂災害
土砂災害とは、大雨や地震などにより、山やがけが崩れたり、水と混じり合った土や石が川から流れ出たり、火山の噴火などによって引き起こされる自然の災害です。日本は国土の3/4が山地と言われており、土砂災害の危険な場所は至る所にあります。近年も土砂災害は毎年のように発生しており、避難する間もなく突然発生することが多いため人的被害の出やすい自然災害です。
土砂災害の種類
土砂災害には大きく分けて「がけ崩れ」「土石流」「地すべり」の3種類があります。
がけ崩れ
がけ崩れは、地面に水分がしみ込むことで弱くなった斜面が突然崩れ落ちる災害です。急な斜面で起こりやすく、突然発災することから、人的被害が出やすい災害です。
土石流
土石流は主に大雨により土砂が雨水と一緒に流れ出して発生する災害です。流れの早い河川や扇状地などで発生しやすいのが特徴で、早いスピードで土砂が流れ落ちるため、人的被害が出やすい災害です。
地すべり
地すべりは、地中の粘土層などの滑りやすい層が地下水などの影響でゆっくりと滑ることで発生する災害です。広範囲に渡って被害を及ぼすのが特徴です。
土砂災害の危険性が高い場所の確認方法
土砂災害の危険性が高い場所として、行政がレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)とイエローゾーン(土砂災害警戒区域)を定めて公開しています。ハザードマップポータルサイトや各市町村HPに掲載されているハザードマップからご確認いただくことができます。
土砂災害の危険性が土砂災害が発生した場合に、建築物の損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域です。土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されると、土砂災害防止法にもとづき以下のことなどが行われます。
- 特定の開発行為に対する許可制
- 建築物の構造規制
土砂災害が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域です。土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されると、土砂災害防止法にもとづき、以下2点などが義務付けられます。
- 宅地建物取引業者は、当該宅地または建物の売買等にあたり、警戒区域内である旨について重要事項説明を行うこと
- 要配慮者利用施設の管理者等は、避難確保計画を作成し、その計画に基づいて避難訓練を実施すること
土砂災害からの避難方法
イエローゾーンもしくはレッドゾーンの地域にお住いの方で、行政から避難指示等もしくは土砂災害警戒情報が発表された場合、あるいは大雨などで自ら危険と判断した場合は、自宅に留まるのではなく、避難場所等に立退き避難することが必要です。これは、土砂災害が突発的に発生することが多く、発生してから避難することは困難であるとともに、木造住宅を流失・全壊させるほどの破壊力を有しているため、屋内で身の安全を確保することができるとは限らないためです。
一方で、逃げ遅れるなどして、立退き避難が危険と判断される場合は、土砂災害が発生・切迫した場合には、自宅や近隣の堅牢な建物に避難することになります。
高潮氾濫
高潮という災害をご存じでしょうか。高潮という言葉を聞いたことはあるという人は多いと思いますが、どの様な災害かをしっかりと理解している人は少ないのではないかと思います。高潮とは一言で言えば、「台風や発達した低気圧が通過するとき、潮位が大きく上昇すること」です。
高潮を発生させる要因
高潮を発生させる要因は主に2点です。
1点目は吸い上げ効果です。台風や低気圧の中心では気圧が周辺より低いため、気圧の高い周辺の空気は海水を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇します。 気圧が1ヘクトパスカル(hPa)下がると、潮位は約1センチメートル上昇すると言われています。
2点目は吹き寄せ効果です。台風や低気圧に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が上昇します。遠浅の海や、風が吹いてくる方向に開いた湾の場合、地形が海面上昇を増大させるように働き、特に潮位が高くなります。
高潮氾濫による浸水の危険性が高い場所の確認方法と避難方法
高潮氾濫による浸水の危険性が高い場所は、ハザードマップポータルサイトや各市町村HPに掲載されているハザードマップからご確認いただくことができます。
高潮氾濫による浸水が想定される地域にお住いの方で、行政から避難指示等や高潮警報等が発表された場合、あるいは大雨などで自ら危険と判断した場合は、自宅に留まるのではなく、避難場所等に立退き避難することが基本ですが、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認できた場合は、自らの判断で自宅に留まることも可能です。
津波
津波は、基本的に海底地震に伴う地殻変動により発生します。地球表面上のプレートの変位により、海水を大きく動かし、津波の原因となります。その他の原因として海底火山の爆発、海岸付近の火山による土砂の大規模崩落などもあります。
津波による浸水の危険性が高い場所の確認方法と避難方法
津波による浸水の危険性が高い場所は、ハザードマップポータルサイトや各市町村HPに掲載されているハザードマップからご確認いただくことができます。
津波による浸水が想定される地域にお住まいの方は、避難指示や津波警報・注意報等が発表されたら、避難自宅に留まるのではなく、避難場所等に立退き避難することが必要です。高台、津波避難ビル・津波避難タワー等、可能な限り安全な場所への立退き避難が必要です。これは、津波が以下の特徴を有するためです。
火山
日本には111の活火山があり、これらの活火山の火山活動を監視しています。 また、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として50火山が選定されています。これら50火山では、気象庁が地震計、傾斜計、空振計、GNSS観測装置、監視カメラ等の観測施設を整備し、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しています(常時観測火山)。
火山災害時は事前の迅速な避難が、人的被害の有無を大きく左右します。噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。火山防災マップを事前に確認し、噴火警戒レベルに対応する危険な場所を確認しておき、噴火の恐れがある場合には、「警戒が必要な範囲」から事前の避難をしましょう。
地震
地震による被害には、津波をはじめ、建物倒壊、火災の発生、土砂崩れ、液状化現象などがあります。今後発生することが予想されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震などでは、津波被害のほか、大都市特有の被害も多く発生するものと考えられます。
地震は突然発生するため、洪水などのように事前に発災を予測したり、事前に避難することがほぼ不可能な災害です。そのため、平時から地震がきても大丈夫なように家具の置き方の工夫や食料・飲料などの備蓄をしておくことが必要になります。
避難を開始するタイミングと発表される情報(火山・地震を除く)
ここまで、各自然災害の概要について解説をしてきました。最後に、災害発生の恐れが高まった時に、避難を開始するタイミングについて解説をします。
現在は避難情報はレベル1~5で運用されており、高齢者等はレベル3で避難を開始し、それ以外の方はレベル4で避難開始することが推奨されています。レベル4の情報というのは、避難指示(全災害共通)、氾濫危険情報(洪水)、内水氾濫危険情報(雨水出水)、土砂災害警戒情報(土砂災害)、高潮警報(高潮)などがあります。基本的には、お住いの地域でこれらの情報のうちどれか1つでも発表されたら避難行動をとっていただく必要があります。
下の表は非常に重要ですので、いつでも見られる場所に掲載をしておくことが良いと考えます。
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