2011年3月11日に発生した東日本大震災は衝撃的だった。もう二度とこんな大災害は起きてほしくない。
東日本大震災では色々な課題・教訓が得られたと思う。それを知って次の災害に備えていきたい。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、これまでにない未曾有の被害を引き起こしました。東日本大震災を経験し、日本の防災対策は大きな転換点を迎えました。
それほどの大災害だったからこそ、東日本大震災で得られた課題や教訓を次に活かしていくことが重要です。この記事では、主に以下について解説します。
- 東日本大震災の被害の概要
- 東日本大震災で得られた課題や教訓と対策
東日本大震災の被害の概要
東日本大震災の地震の概要を紹介します。
- 地震発生日時:2011年3月11日(金)14時46分
- 震源及び規模(推定):三陸沖、深さ24km、マグニチュード9.0
- 津波の観測値(検潮所):えりも町庶野3.5m、宮古8.5m以上、大船渡8.0m以上、釜石420㎝以上、石巻市鮎川8.6m以上、相馬9.3m以上、大洗4.0m以上
- 死者:19,759名(※震災関連の死者を含む)
- 行方不明者:2,553名
- 負傷者:6,242名
- 住宅全壊:122,006棟
- 住宅半壊:283,160棟
- 住宅一部破損:749,934棟
東日本大震災は、これまでの想定をはるかに超える津波が発生したことで、一度の災害での人的被害は戦後最大となりました。これ程の大きな被害をもたらした東日本大震災から得られた課題や教訓は何だったのか。次にそれを解説します。
東日本大震災で得られた課題や教訓
教訓①:津波から逃げ遅れを無くす必要がある
東日本大震災では、津波警報が発令されても避難しなかった人が多かったと聞いた。そこからどんな教訓が得られたんだろう?
東日本大震災では、津波から逃げ遅れた人が多かったため、大きな被害が出てしまいました。この事実から得られた教訓をいくつか紹介します。
- 津波からの避難は、強い揺れや長い揺れを感じた場合、自らの判断で迅速にできるだけ高い場所に避難することが基本。私たち一人一人がそのことをしっかりと認識しておく必要がある。
- 東日本大震災では、第一波の津波の観測結果が住民の避難の遅れや中断に繋がった事例があるので、私たちは第二波や第三波が大きくなる可能性があることを認識しておく必要がある。
- 津波警報は地震発生後速やかに一定の精度で発表することは限界がある。東日本大震災では当初気象庁から出された津波高は実際よりも小さい予想が出されてしまったことも被害を拡大させた要因と考えられるため、不確定要素がある場合は安全サイドの津波警報を発表する。私たちはそのことを認識して、例え空振りでもまずは避難することが必要である。
- 住民以外に、走行中の車両や運行中の列車、船舶などに対しても、避難の情報を提供することが課題として挙げられた。車や電車で移動中であっても、災害情報は常に気にしておく必要がある。
- できるだけ短時間で避難が可能になるよう、避難場所や津波避難ビル等を事前に把握しておく必要がある。また、徒歩で高台等に避難できるよう、避難路や避難階段も事前に把握しておく必要がある。
- 避難誘導にあたった消防団員や警察官などが犠牲になった。私たちは、消防団員や警察官などの安全性を確保するためにも、早期に避難を行う必要がある。
教訓②:地震や津波に強い街づくりを進める必要がある
津波による被害が予想されている場所に多くの人が住んでいるというのも問題な気がするなぁ。この点からも得られた教訓があるのでは?
被害が拡大したことに対する教訓の1つとして、浸水区域に多くの人が住んでいたという問題もあります。このことから得られた教訓をいくつか紹介します。
- 過去の津波災害で、高台移転や集団移転をしていたが、時の流れとともに忘れ去られ、時間とともに津波の浸水リスクがある場所に人が住むようになっていた。津波による甚大な被害が想定される場所は住まないことが必要である。
- 住民が迅速に高台に避難できるよう、行政は避難場所や津波避難ビル、避難経路などの避難施設を整備し、私たちはそれを事前に把握しておく必要がある。
教訓③:津波に対する防災意識を向上する必要がある
東日本大震災より前と後では、津波に対する防災意識が格段に向上した。そのことも教訓の1つだよね。
東日本大震災が発生するまで、津波の恐ろしさをあまり知らない人も多かったのではないでしょうか。津波からの被害を最小限にするためには、まずは一人一人の防災意識を向上することが何より大切です。
- 津波災害は頻繁に発生するものではなく、数十年に1度程度しか発生しない。一方で、ひとたび発生すると東日本大震災のように甚大な被害が発生する恐れがある。まずは日本全国、海岸近くに住んでいる人は津波のリスクをしっかりと認識する必要がある。
- 地震や津波は自然現象であるため、想定を超える規模の地震や津波が発生する可能性は十分あることを認識しておく必要がある。
- 東日本大震災では、ハザードマップの認知度が低かったことにより被害が拡大した可能性がある。私たちはハザードマップは事前にしっかりと目を通しておき、強い揺れを感じた時などは、速やかに避難できるようにしておく必要がある。
- ハザードマップに記載されていた浸水想定区域が実際の浸水範囲よりも狭かったため被害を拡大させた可能性がある。ハザードマップに掲載してある浸水域よりも広い範囲が浸水する可能性があることを私たちは知っておく必要がある。
- 東日本大震災では車での避難中に被災した事例が数多くあった。津波からの避難は徒歩が原則であることを認識しておく必要がある。ただし、自動車で避難して生存した人も一定数いたため、原則徒歩としつつも、高齢者等は自動車での避難もあり得る。
- 避難するきっかけとして、地域での避難の呼びかけが大きな要因であったという調査結果がある。そのため、地域で声を掛け合いながら避難することも有効である。
- 東日本大震災では多数の孤立集落が発生した。集落などで、衛星電話を確保しておくなどして、地震や津波発生後の連絡体制を確保しておくことが必要である。
まとめ
東日本大震災を経験し、私たちの防災に対する意識は大きく変わったと思います。テレビから流れる津波の映像を見て、衝撃を受けた人が多かったのではないでしょうか。私自身、あの時のテレビ画面の映像を鮮明に覚えています。
これ程多くの犠牲者を出した東日本大震災を私たちは忘れてはいけません。震災前に戻ることはできませんが、このことを教訓として、次に日本のどこかで発生するであろう巨大地震と巨大津波に備え、被害を最小限とするための取組を進めていくことが必要です。
ここ書いた内容は、東日本大震災を踏まえて内閣府が設置した「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告の内容をベースにしています。ここに記載した教訓は、全体の教訓のごく一部です。この記事を読むことがきっかけとなり、読者の皆様にとって、東日本大震災から得られた教訓を学ぶ動機になれば幸いです。
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